意志がある、ものづくりを −製造業をもっと自由におもしろく− 株式会社河合電器製作所
先日、ツナグハウスでの最後のシャショクが開催されました。数多くの参加者にも恵まれ、無事(?)成功を収めることができました。感謝感激。
今回登壇していただいたのは、河合電器製作所代表取締役社長の佐久真一氏。従業員を第一に考え、自身に関わる人全てが幸せになって欲しいと考える“リーダー像”を語っていただきました。
生まれた時から社長になる運命だった佐久氏。大学卒業後、別の会社へ入社し経験を蓄積し、父が経営する河合電器製作所へ。35歳。自社に参画した時は、丁度競合他社の中国進出期。「安ければ安いほどいい」。そんな時代だったそうです。
このような背景を踏まえ、社長になるまでの苦労話を中心に語っていただきました。
河合電器製作所のコンサルティング
佐久氏の出演交渉時、他にはない“強み”を持った会社という印象がありました—コンサルティングです。
製造業なのにコンサルティングを行っているという点。それこそが競合他社にはない強みになっていました。
実際、彼らは大量受注大量生産は行ってはいません。持ち前の技術を生かして大手企業に技術力を売り、一緒にゼロから製品を作り上げる。どうもこれがコンサルティングの内容なのだそう。そのため、コンサルティングで収入を得るのではなく、製造過程で必要な備品を取引先に得ることで利益を得る。技術力があればこその差別化されたビジネスでした。
「一緒に仕事する仲間に守って欲しい“ぼくらのおもい”」。
コンサルティングを行い、一緒に製品を作り上げていく上で、彼らはこの“ぼくらのおもい”をはじめに提示しています。これを守れない相手とは一緒に仕事をしない。過去、このコンサルティングをはじめた際に起こった図面の流出などがきっかけなのだそう。
「日本人って、見えないものにお金を使うことが少ないんですよね」。
この言葉は印象的でした。新聞を毎日購読しなくてもネットで情報が無料で手に入るようになったこのご時世、目に見えない“情報”にお金を払おうとする人が少ない状況にも説明がつきます。
見えないものに価値を見出す難しさ、それを具現化したのが“ぼくらのおもい”。
「お客様は決して神様ではなく、対等な関係に位置するパートナー。そんな運命共同体にぼくたちのことを少しでも理解して欲しい」。
「お客様は神様です」は対等であることを前提にしている
三波春夫の名言に、「お客様は神様です」という言葉があります。日本文化の“おもてなし”を表現するのにうってつけの言葉であるかのごとく、言葉だけが一人歩きしている「お客様は神様です」。どうも本意は異なるようです。
三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズなのです。
三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのですし、また、営業先のクライアントのことでもありません。
これは実際、三波春夫のオフィシャルサイトに書かれているものです。
客との関係は“対等”であることを前提として、三波春夫はこの言葉を残したのだとか。クレーマーが乱用する意味とはズレがありますよね。
佐久氏も、この内容については触れていました。客とは常に対等である。だから、「やりたいことはやる、やりたくないことはやらない」精神のもと、“ぼくらのおもい”が生まれ、今のような関係構築をするようになったようです。
佐久氏のリーダー像
実際、彼は悩んでいたそうです。幼少期から父を継いで社長になることはほぼ確定しており、いつかは会社を背負っていかなければならない。このプレッシャーから、学生時代はリーダーシップ論の本を何冊も読み漁ったそうです。
しかし当時は、集団の先頭に立つリーダーシップ論の本が主流であり、その他のリーダー像を書いた本はありませんでした。
彼自身、自分と関わる人みんなが幸せになって欲しいと考えていたこともあり、このようなリーダーにはなれないという結論に至ったそうです。
これは、競合他社が中国に進出していった時もそうでした。
競合他社は中国へ
2000年代、大企業が安価に製品を製造するために中国へ進出して行きました。その結果、その下請けも次々と中国へ進出してくという現象が巻き起こりました。
この経緯については詳しく書かれた記事があったので貼っておきます。
www.lean-manufacturing-japan.jp
中小企業にとって海外に拠点を出すということは、多くの社員を海外に派遣しなければいけないということになります。これは佐久氏にとって“よくないこと”でした。
自分と関わる人みんなが幸せになって欲しい。
海外へ社員を派遣するということは、その社員の家族を分断させるということになります。少なくとも、これはその社員を不幸せにすることとなります。
また、海外に進出したところで同じ仕事をやり続けるだけだということもあり、これでは今後生き残ることができない不安もありました。
「(中国へ)行っても行かなくても大変なら日本に留まろう」。
とはいえ、今後どんな新しいビジネスモデルを形成するのかすら決まっていませんでした。
ワーク・ライフ・バランス推進企業
河合電器製作所は、「ワーク・ライフ・バランス推進企業」に選ばれた“優良企業”です。中部電力株式会社など、名だたる大手企業が名前を挙げる中、第一回目に選定されました。
このワーク・ライフ・バランス推進企業に関しては、以前記事にしているのでそちらをご覧ください。
企業に求める条件について話し合いました!
こんな中小企業で働きたい!
あなたは今、どんな企業で働きたいですか?
漠然と「大企業で働きたい」とか「福利厚生がいいところ」とかは考えたことがあると思います。
しかし、それだけで会社を決めるのは問題だと思います。
定年まで働かないとしても、ある程度の人生を捧げる会社をそんな条件だけで決めてしまうのは、ブラック企業に入社してしまう可能性を生み出しているだけです(ブラック企業と感じるのは人それぞれですが)。
とはいえ、「実際どのように社員が働いているのか」だとか「ワークライフバランスの充実」は分からないと思います。自身が働いている姿を想像しにくいのが、今の新卒就活の現状だと思います。なにせ、企業は学生に良いところしか見せようとしませんから。
まずは、社会人と話してみることをお勧めします。そして、あなた自身が“働く”姿を実感できるところにまずは挑んでみてはいかがでしょうか。そのための機会として、私たちは月1回のシャショクと、次回3月30日に開催する特別シャショクを提供できます!ぜひ、きっかけの一つとして参加してみてください!
このイベント参加したい!まずはどのような様子か見てみたい!と思った方は、コメントください。また、随時コメント受け付けています!